国際VHFとは ~小型船舶に任意で設置する国際V H F が制度改正されました~

国際VHF(船舶共通通信システム)とは?

■船舶の航行のための通信に使用する国際的なシステムです

150MHz帯を使用し、船舶において遭難・安全通信・港務通信、電気通信業務、水先業務等に使う無線通信システムで、全世界的に使われているため「国際VHF」と呼ばれています。
総務省では、船舶のより安全な航行を実現するため、小型船舶等に任意で設置することができる安価な国際VHF機器の普及を図るべく、平成21年に「船舶共通通信システム」として制度の整備を行いました。
国際VHFは、航行の安全に関する重要な通信を行うものとして多数の船舶に利用されています。

国際VHFを使用するために必要なものは?

無線従事者資格と無線局免許が必要です

1 無線機の購入
全国の主要無線機器販売店、船舶用機器販売店のほかインターネット通信販売でも購入することが可能です。購入の際には、その無線機器が技術基準適合証明を受けていることを示す「技適マーク」を確認しましょう。

2 無線従事者資格の取得
国際VHFを操作するためには無線従事者資格(無線従事者免許証)が必要です。無線従事者資格は、国家試験またはマリーナ等が主催して開催する講習会で取得することが可能です。
国家試験は、財団法人日本無線協会が実施しています。使用する機器の機能・出力ごとの必要な資格は次のとおりです。
・携帯型5W(※DSC機能無し) 第3級海上特殊無線技士(海特3)以上・携帯型5W(※DSC機能付き)
・据置型25W
すでに海特3の資格がある場合は、より短時間の講習で海特2を取得することが可能です。
※DSC:デジタル選択呼出装置。簡単な操作でグループ呼出や遭難信号の発信ができます。

3 無線局免許の取得
○ 国際VHFを使用するには無線局免許(特定船舶局)が必要です。[有効期間:5年間]
○ 無線局(特定船舶局)の免許は、船舶1隻ごとに1つの免許となります。(複数の船舶で共用することはできません)
○ 免許申請用紙は総務省のホームページからダウンロードすることができるほか、国際VHFの機器に添付されています。
  また、電子申請システムも利用できます。

○ 申請書の記載方法等については、販売されている無線機器にも資料が添付されていますが、ご不明な点は総合通信局等にお問い合わせください

○ 輸入品等で技術基準適合証明(技適マーク)のない無線設備を使用することができません。

国際VHFの運用方法について

ルールを守って正しく運用しましょう

1 通信方法

国際VHFは、まず連絡設定用チャンネルで相手船を呼出し、その後、通話用チャンネル(船舶用・海岸局用)に切り換えて通話を行います。

連絡設定用チャンネル
ch 用途や使用上の注意 呼出の方法
16 ・遭難・緊急・安全呼出、一般呼出・応答用チャンネル
→このチャンネルで連絡設定した後、他チャンネル
に切り換えて用件を話します
・このチャンネルでは一般の通話はできません。
自船:××号、××号、こちらは、○○
丸、○○丸。
相手船:○○丸、○○丸、こちらは、××
号、どうぞ。
自船:××号、こちらは、○○丸、チャン
ネル6に変更お願いします。
相手船:チャンネル6了解。
(手動でチャンネル6に変更後通話)
77 ・小型船舶同士・所属海岸局との呼出・応答チャンネル
(旧マリンVHFの呼出・応答用チャンネル)
・小型船舶同士はch16の輻輳を避けるため、このチ
ャンネルでの連絡設定を推奨します。
船舶局同士の通話チャンネル
ch 話対象船舶等
6,8,10 ・すべての船舶(主に航行用)
13 ・すべての船舶(航行安全通信用)
※海上保安庁の海岸局も含む
69,72,73 ・小型船舶間
海岸局との通話チャンネル
ch 対象海岸局等
9 ・海上保安庁の海岸局 ※船舶等も含む
11,12,14 ・海上保安庁・ポートラジオ等
71,74,79,86 ・マリーナ・セーリング連盟等のレジャー用海岸局
 ※ch86は2020年3月末までの運用

遭難・緊急時の運用

ch16にセットし、付近の船舶局や海岸局に救助を求めます。

・DSC機能のついた無線機は緊急時にディストレスボタンを押すと、付近の船舶局に遭難している旨や自船の位置を自動的に知らせることができます。

・誤発射した場合は、最寄りの海上保安庁へ連絡願います。

運用上の注意点

・遭難通信、緊急通信など、船舶の航行の安全にかかわる重要な通信を行う無線です。運用の際は、簡潔・明瞭な通話を心がけましょう。

・航行中は、呼出用のチャンネルであるch16ch77を聴守しましょう。
特にch16は、遭難・緊急の連絡や海上保安庁からの情報など重要な通信が入ることがあります。

・海上での航行時にのみ使用できます。河川、湖沼や陸上での使用は禁止されています。

・船舶ごとに無線局免許が必要となります。同じ無線機器を複数の船舶で共用することはできません。

遭難通信を妨害したときは、1年以上の有期懲役に、また虚偽の遭難通信を行った場合は3ヶ月以上10年以下の懲役に処されます。

その他の注意事項

1 無免許での使用には罰則があります

無線局免許を受けずに国際VHFを運用した場合は、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処されます。
また、免許の有効期間は5年間で、継続して使用する場合には有効期間満了の6ヶ月前から3ヶ月前までの間に再免許の申請を行う必要があります。有効期間切れに十分注意してください。
無線局申請で疑問点等がありましたら、総合通信局等へご相談ください。

2 電波利用料について

無線局の免許をお持ちの方に、より円滑に電波を利用していただくため、必要な経費を無線局の規模に応じてご負担いただく制度です。1年毎に納付書を郵送しますので、金融機関、コンビニエンスストア等でお支払いください。納付につきましては、口座振替や電波利用料の前納もご利用いただけます。

3 定期検査について

無線局の運用状況や無線設備が法令の基準に合致しているかを定期的に確認するため、定期検査制度があります。使用する無線設備の種類等により検査の周期が異なります。
検査周期の一例(詳しくは総合通信局等へお問い合わせください)
・据置型の国際VHFのみ … 5年ごと※
・携帯型(5W以下)の国際VHFのみ … 定期検査は不要※
※ただし、遭難自動通報装置(EPIRB等)が強制の場合は2年ごと
定期検査が必要な年度に総合通信局等から通知書を送付しますので、忘れずに受検してください。
検査を拒んだり忌避した場合は6 月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。

出典:総務省 国際V H F 利用ガイド(PDF)